ゴリラになるブログ

人間に戻るまでがゴリラです

酒の抜きかた

 

体験談

 ぼくは酒で記憶を飛ばしてぶっ倒れたことが四回あって、中でも一番ひどかったのはやっぱり一人きりの宅飲みだったと思う。ウォッカを飲みすぎて、クローゼットに頭を突っ込んだまま、学部の課程で言えば2年の夏休みぐらいの今にも中退しそうなやる気無い食べ物を、逆噴射して虚無に着陸したのだっけ。

 着陸した後はひどい二日酔いのまま、「汚した服やカーペットを処分しながら試験勉強をする」というよく分からないことになった。「500年は酒飲まないので許してください[誰に向けて?]」とヒイヒイしながら誓ったんだけど、なぜかその誓いが今月まで無限増殖していて、ver7.3.2くらいに更新されてんだよな……。

 そういうわけで、酒のアテに食べたタンタン麺もイカ燻製も、もちろんウォッカそのものも、ウォッカを使ったカクテルまで、いっぺんに大嫌いになってしまった。これ以上食べ物を嫌いになると栄養失調になってしまうので、そういう悪い飲み方も、今はなるべく控えている。

 

酒を抜く前に

 お酒をブン回してエンジンを取り付けて気持ちよくなりたい(なった)、でも不始末はしたくない(した)、二日酔いにもなりたくない(なった)。そういうときに重宝するのが「酒抜き」である。

 それをこれから説明したいんだけど、酒を抜いてみる前に、ちょっと考えてみてほしい。

 ホントの酒飲みとして、飲む前に明日のことを考えるという心構えは正しいんだろうか?

 否。会社や学校、はたまた体調ウンヌンだったり、明日のことが気にかかるような精神状態で酒を飲んではいけない。そんなことでは何を飲んでも楽しくない。「出る前に負けること考えるバカいるかよ!」と猪木が記者をビンタしたのはつまりそういうことで、飲む前に二日酔いのこと考えるやつはきまってどっかバカなんである。

 「飲酒から『文化的な側面』が失われはじめたら危ない」ある作家はそう言ったのだけど、まさしくその通りだ。酒は気の置けない友人と一緒に、あるいは一人でも、とにかく満たされた体と心でもって、ポジティブに享受するに越したことはない。バーにおもむいて雰囲気代を払ったっていい。逆に、将来を儚んだあとでひとりぼっちのヤケ酒なんて最悪だ。最悪きわまる。

 要は、何につけても不健康なやり方ってのがあるもんで、安酒とかアレコレ言うのは、まず悪い飲み方をやめてからにしませんか?ということだ。

 酒にケチつける前に、胸に手を当てて、己が来し方をまず振り返ってみてほしい。連絡すれば酒とツマミを持って(オンラインでも)集合してくれて、いろんな空気がZOOM ZOOMブチ上がっていくような友達、あなたには何人いますか。もしかするとあなたが友達だと思い込んでいるのは、選択不能なままの立ち絵のシルエットだったりしませんか?

 

酒の抜きかた

 ふしぎなもので、良い飲み方をすると同じ酒でも悪酔いしづらいし、後にもひびかない。仮にひびいても後悔が無い。不快感は限りないけど、酒抜きとは、こういう良い飲み方をしたときにはじめて役に立つものだ。それを今から紹介しよう。

前準備:飲む前

 明日のことは考えないようにしよう。飲む前に肝臓系のサプリ(ウコンなど)を飲むと最速で肝臓杯を走り抜けることができる。コーナーで差を付けろ。もともと故障がある人はウコンがそれを悪化させてしまうという研究結果もあるので、自覚のある人は少なめに。この時点でスポーツドリンクと、以下に示す薬を買っておくと、明日のことが気にかかる人は助かるかもしれない。

 

【第2類医薬品】大正漢方胃腸薬 48包

【第2類医薬品】大正漢方胃腸薬 48包

  • 発売日: 2000/09/01
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品
 

 

【第3類医薬品】ミラグレーン錠 350錠

【第3類医薬品】ミラグレーン錠 350錠

  • 発売日: 1958/08/01
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品
 

 

飲み会中

 場所・時間・金・人、これが揃えば言うことは何も無い。好きな酒デッキでベストを尽くそう。はじめは度数の少ない酒から、だんだんヌルっと入っていくのがセオリーといえばセオリーだけど、俺達に明日は無いと本気で思ってるスピード感のある人は、乾杯からウイスキーをイッキなどするし、する。学生特有のコールでメダパニを食らうと酒デッキが3秒で破壊されるので、弱い人はマジで乗らないほうがいい。コールもコールでやんないほうがいい。

 (肝臓が)ドッカンバトルするまでは、人は何だって飲む。それでも人はリスクの少ないほうを取る。最速で死にたくはない。でも頭の中を異世界に飛ばしたい。そういうときのやり方もちゃんとある。

 ドラッグにはスピードボールという、アッパードラッグとダウナードラッグをチャンポンする摂り方がある。かつおだしと昆布だしが合わさるとうま味が倍増するように、ドラッグ界の陽キャ陰キャを合わせると双方を統べる陰陽師になるんだな。

 この原理を流用して、レッドブルウォッカを飲んだり、酒と一緒にコーヒーやエナジードリンクを飲むなんかすると、カフェインのアッパー作用とアルコールのダウナー作用、そして両方が持つ利尿作用が三位一体になる。脳をブン回しながら押さえつけているので、飲めば飲むほど

 とにかく、きく。

そういう坂口安吾みたいな感想しか出てこなくなる。それを楽しんでるうちに水分が抜けて、ベランダにへばりついた生乾きのタオルみたいになってしまう。

f:id:wataken999:20201101020802j:plain

頭の中がこういう感じになる

 

 飛ばしすぎると、お開きを待たずにひっくり返ったカブトムシみたいになってしまうので気を付けよう。

飲みのあと(帰宅)

 少しゲボのあるカブトムシが帰巣本能をたよりに帰ってきた。そろそろ人間に戻ろう。どんなに嫌でも明日は来るんだ。

 まず、前もって買ってきたスポーツドリンクを大量に飲む。そしてトイレに行って水分を出す。吐いてしまうと胃酸で歯が溶けていくので(ぼくは2本溶かした)なるべく吐かないようにこらえておきたいところだ。

 次にちょっとぬるめの風呂に長時間入る。汗をかいて酒を抜く方法だ。注意として、まだ酒が抜けてないので、熱い風呂に入ってはいけない。シラフなら熱い風呂でもまあまあ大丈夫なんだけど、酔った人が入るとどうなるかというと、あっという間に温度差によるショックで、なんというか、えらいことになってしまう。やめておこう。やめろ。

 寝る時、枕元には大正漢方胃腸薬とミラグレーン錠を用意しておく。二日酔いを早く治すためだ。このときはまだ酒が眠剤代わりになっているので、気絶するように眠れると思うけど、それ実際に気絶してるんであってホントは眠ってるわけじゃないぞ。「酒で眠れる」はワザップ。

 

 そこまでやったっていうのに、寝ている間に毒を盛られたような体調で翌日は目が覚めると思う。考えないようにしておいたはずの明日が、まったく普通に、しかもトイチの利子付きで来ちゃったときの、あの無力感と不快感のスピードボールが、このときばかりはペプシのマークみたいになって、腹の中でぐるぐるしている。それは当然のことで、こちらが肝臓を傷めつけているとき、肝臓もまたこちらを傷めつけているのだ。はたらく細胞ベトナム戦争)を終わらせるのが、枕元に置いた2種類の薬。

 とくにミラグレーン錠は肝臓に効く上に利尿作用があるので、水分補給さえしっかりしていれば、体内に残ったアセトアルデヒドをすみやかに排出してくれるといいよな。まだ飲んだことないんでよく分からないんだけど、常備薬として置いておくに越したことはない。

 迎え酒は、明日が鉄砲玉の人用のワザップなのでマネしないように。